移動平均線
移動平均線(MovingAverage)は、チャートを使う投資家であれば、誰もが知っている人気No.1のトレンド系のテクニカル指標です。
価格の傾向や流れなど、相場の方向性を見る手掛かりとなり、直感的に把握できる非常に便利な指標です。
1.移動平均線とは?
移動平均線は、1920年頃にアメリカで開発されたと言われており、ある一定期間の価格から平均値を計算し、その平均値の動きを折れ線グラフで表したものになります。折れ線グラフの形を見ることで価格の終値の平均値が上がっているのか、下がっているのかを視覚的に把握することができます。
移動平均線の種類
●単純移動平均線
(Simple Moving Average:SMA)
一般的に、移動平均線というと単純移動平均線を指します。これは一定期間の終値を平均化しただけの単純な移動平均線です。
●加重平滑移動平均線
(Weighted Moving Average:WMA)
単純移動平均線と違い、直近の価格に徐々に比重を置いていくため、相場の変化に素早く反応するという特長があります。
●指数平滑移動平均線
(Exponential Moving Average:EMA)
より直近の価格に比重を置き、直近の価格に比重を高く反映させ、残りの日は影響を低く構成して算出するため、加重平滑移動平均線よりもさらに相場変化に素早く反応します。
移動平均線(単純移動平均線)の計算式
N)移動平均線=直近の終値+1本前の終値+2本前の終値・・・+(N-1)本目の終値)÷N
(例)25日移動平均線の場合
25日移動平均線 = (当日終値+前日終値+2日前終値・・・+24日前終値)÷25
移動平均線の期間設定
移動平均線の期間は、ローソク足の本数で設定します。まず、足種別(日足、週足、月足)を選択して、設定期間を変えていくことで、より自分のトレードスタイルにあった移動平均線を表示することができます。
日足 | 5日、10日、20日、25日、50日、 75日、100日、200日 |
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週足 | 9週、13週、26週、52週 |
月足 | 6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月 |
デイトレードや、スキャルピングトレードなど超短期の場合は、時間足や分足を選択して、期間を設定すると、より短い期間での分析が可能に。
2.移動平均線の使い方
移動平均線と価格の位置関係
移動平均線は一定期間の平均水準であるため、移動平均線と価格の位置によって相場を分析します。
移動平均線よりも価格が上にあれば上昇トレンドで強い相場、下にあれば下落トレンドで弱い相場と判断します。
移動平均線の傾きに注目
移動平均線は、傾きによって相場を分析することが可能で、移動平均線が上向いている時は上昇トレンド、下を向いているときは下落トレンドと判断します。また傾きがない場合は、方向感がないレンジ相場と判断します。
異なる期間の移動平均線の組み合わせ
移動平均線は、異なる3つ(短期・中期・長期)の線を表示させることで、より精度の高い取引が可能となります。特に、2本の移動平均線を使った非常に有名なものに、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」があります。
短期移動平均線が中・長期移動平均線を下から上へ突き抜けることで、直近の価格傾向が上向きに転じたとみられるため買いシグナルと判断します。
ゴールデンクロスとは逆に、短期移動平均線が中・長期移動平均線を上から下へ突き抜けることで、直近の価格傾向が下向きに転じたとみられるため、売りシグナルと判断します。
図のように25日移動平均線が75日移動平均線を下から上に突き抜けたゴールデンクロスを買いと判断し、逆に上から下へ突き抜けたデッドクロスを売りと判断すのですが、どうしても売買シグナルがかなり遅れて発生するため、期間設定や他の指標を併用するなど工夫が必要。
3.グランビルの法則について
グランビルの法則 8つの売買ポイント
移動平均線の活用方法として、「グランビルの法則」があります。ジョゼフ・E・グランビルが考案したもので、「価格と200日移動平均線との相対関係によって投資タイミングを捉えることができる」として以下の8つの基本法則を示しています。
買いのタイミング
- 買❶ 移動平均線がある程度の期間下降した後で横ばい状態になるか、或いは少し上昇基調に転じた時に、株価がその移動平均線を下から上に突き抜けたとき。
- 買❷ 移動平均線が上昇トレンド中に、株価が移動平均線を下抜けたとき。
- 買❸ 株価が移動平均線よりも大きくプラスに乖離した後、株価が下落したが移動平均線まで落ちずに再度上昇したとき。
- 買❹ 株価が下降基調の移動平均線の下にあって、移動平均線より大きく乖離したとき。(自立反発が期待できる)
売りのタイミング
- 売❺ 移動平均線がある程度の期間上昇した後で横ばい状態になるか、或いは少し下降基調に転じた時に、株価がその移動平均線を上から下に突き抜けたとき。
- 売❻ 下降トレンド中の移動平均線を株価が上抜けたとき。
- 売❼ 株価が移動平均線よりも大きくマイナスに乖離した後、株価は上昇したが移動平均線まで届かずに再度下落したとき。
- 売❽ 株価が上昇基調の移動平均線の上にあって、移動平均線より大きく乖離したとき。(自立反落する可能性がある)
特に、買❶と売❺は移動平均線を突き抜けたタイミングが売買シグナルとなるため、非常にシンプルで、初心者の方でもタイミングを見つけやすいといえる。
4.移動平均線のまとめ
●移動平均線の傾きや移動平均に対する価格の位置で、トレンドを判断するのに非常に役立つ指標であること。
●売買のポイントの基本は、2本の移動平均線を使った「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」であるが、シグナルの発生が遅いため、他のテクニカル指標との組み合わせることで精度をあげること。
●グランビルの法則で特に使いやすいのが、上記買①と売⑤の、移動平均線を突き抜けたタイミングを売買のポイントとすること。