ストキャスティクス
ストキャスティクスは、1950年代後半に米国のテクニカルアナリスト、ジョージ・C・レインによって開発されたました。ストキャスティクスは、「推計学(推計統計学)的な・・・」という意味でありますが、 テクニカル分析におけるストキャスティクスは、価格の終値の位置と設定した日数の価格範囲を分析(比較)するといったものになります。 RSI同様で相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを判断するオシレータ系の人気指標です。
1.ストキャスティクスとは?
ストキャスティクスは、現在の株価がある期間中の最高値と最安値の値幅(レンジ)の中のどこに位置しているかを0%から100%で示したものです。 「%K」と「%D」の2本のラインを利用した、「ファストストキャスティックス」と、「Slow%K」と「Slow%D」の2本のラインを利用した「スローストキャスティクス」の2種類があり、「ファーストストキャスティックス」は、相場の動きに素早く反応するため、短期売買向きでダマシも多いのが欠点です。「スローストキャスティクス」は、感応度を抑え、ダマシの確率を低くしているため、一般的にはこちらを利用することが多いです。
ストキャスティクスの計算式
ストキャスティクスは3つ計算式で成り立っています。 特に、若干複雑に見える「%K」の計算式以外は、非常にシンプルです。
例えば、過去n日間の最安値が100円で、最高値が200円だった場合・・
パラメータの値は、過去の期間(n)設定として、 「n=5,9,14,21,26」などが一般的で、より小さい数値になるほど、値動きに敏感に反応します。 よって、よりダマシを回避する場合は、大きい数値を設定しましょう。 また、単純移動平均は”3”でまずは試してみよう。
2.ストキャスティクスの使い方
スローストキャスティクスが実用的
上記にも述べたように、ストキャスティクスには、「ファストストキャスティクス」と「スローストキャスティクス」があります。
「ファストストキャスティクス」で利用する「%K」は、計算式からもわかるように、実際の株価の影響を受けるためかなりジグザクしています。そのため、”ダマシ”の出る確率が高くなるため、「%K」を使わない「スローストキャスティクス」のほうが、滑らかな2本線のため実用的なのです。
一般的には、「ファストストキャスティクス」と「スローストキャスティクス」は別々の指標として取り扱いますが、 取引ツールによっては、一つの「ストキャスティクス」として、「%K」「%D」「Slow%D」の3本のラインで表示される場合もあります。
80%以上は買われ過ぎ、20%以下は売られ過ぎ
さて、ここからはより実用的な「スローストキャスティクス」での使い方を解説します。
ローソク足チャートの下に表示される「スローストキャスティクス」は「0%から100%」で表示され、まずは「Slow%D」が80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎであると判断します。
【売買シグナルその①】
「Slow%D」が0~20%にあり、「Slow%K」ラインが「Slow%D」を下から上に抜ける「ゴールデンクロス」を買いシグナルとします。 また逆に、「Slow%D」が80~100%にあり、「Slow%K」ラインが「Slow%D」を上から下に抜ける(デッドデンクロス)を売りシグナルとします。
【売買シグナルその②】
更に追随の売買タイミングとして、20%以下で「ゴールデンクロス」あとに、「Slow%D」が20%ラインを越えたタイミングを追随の買いシグナルと判断し、逆に、80%以上で「デッドクロス」したあとに、「Slow%D」が80%ラインを下回ったタイミングで追随の売りシグナルと判断します。
スローストキャスティクスでも、パラメータの設定にもよりますが、ダマシが多く使いずらいと思っている投資家も多いと思います。 特にエントリー時は、よりダマシを回避するに、上記の 【売買シグナルその②】に比重を大きく寄せるのが賢明です。
3.ストキャスティクスの応用編
移動平均線でトレンドを判断して押し目買い
他のテクニカル指標を組み合わせることで、より精度の高い売買判断が可能となります。例えば、トレンド系の代表格である、移動平均線でトレンドを判断した上で、「スローストキャスティクス」を使えば、より信憑性のあるシグナルになるでしょう。
例えば、下図のように、2本の比較的長めの移動平均線を表示して、移動平均線が上向きで、価格が移動平均線より上にあることで、上昇トレンドであると判断した上で、その押し目を狙って売買します。 上昇トレンドにあることで、より自信をもった買いでの参戦が可能となります。
この例では、「Slow%D」が20%ラインを越えたタイミングで新規買い(買いシグナル)をして、80%以上でのデッドクロスで決済売り(売りシグナル)としています。
MACDでエントリー、決済でスローストキャスティクス
下記は、「スローストキャスティクス」のダマシにあった例です。 「Slow%D」が20%超えたところで新規買いをしてみたものの、その後下落トレンドが止まらず、大幅に下落してしまったシーンです。
このようなダマシに合わないためにも、エントリーはより信憑性の高いトレンド系の「MACD」を利用して、「スローストキャスティクス」で決済するという方法も有効的です。
他のテクニカル指標でもいえることですが、「ストキャスティクス」の場合、より他よりもダマシが発生しやすい分、 幾つかの様々なテクニカル指標を組み合わせることが重要ですですね。 他にも相性の良い指標がありますので、色々と試してみよう!
4.ストキャスティクスのまとめ
●「ストキャスティクス」は、より感応度を抑えた「スローストキャスティクス」を使うのが一般的。
●「スローストキャスティクス」おいて、80%以上は買われ過ぎゾーン、20%以下は売られ過ぎゾーンとなり、追随の売買シグナルである、「Slow%D」が20%ラインを越えたタイミングを買い、「Slow%D」が80%ラインを下回ったタイミング売りと判断すると、より信憑性が増す。
●それでもダマシの発生が多いことから、「移動平均線」や「MACD」などのトレンド系テクニカル指標を併用がおススメ!