MACD
MACD(マックディー)は、初心者でも非常に使い易く、多くの投資家に使われています。移動平均線をもとにしたテクニカル指標で、移動平均線よりも早く、トレンドの初動を教えてくれるのが特長です。
1.MACDとは?
MACDは、「Moving Average Convergence Divergence」の頭文字を取ったもので「マックディー」と呼ばれています。「MACD」と「MACDシグナル」の2本の移動平均線と、棒グラフで表示された「ヒストグラム」で構成されており、オシレーター系の要素もありますが、トレンド形成時に威力を発揮するため、トレンド系テクニカル指標として活用します。
よって、トレンドのないレンジ相場には弱い面があります。
MACDの計算式
①MACD線:短期EMA-長期EMA
②MACDシグナル線:MACDの移動平均線
③ヒストグラム:MACD線-MACDシグナル線
●MACDで使う移動平均は「指数平滑移動平均(EMA)」です。EMAは直近の値動きをより反映するため、通常使われる「単純移動平均線(SMA)」と比較して値動きに素早く反応します。
●MACD線は短期移動平均線、シグナル線は長期移動平均線として捉えていきます。
2.MACDの使い方
ゴールデンクロスの買いとデッドクロスの売り
ゼロラインより下で、MACD線がMACDシグナル線を下から上へ突き抜けたゴールデンクロスが買いシグナル(買①)となり、
逆に、ゼロラインより上で、MACD線がMACDシグナル線を上から下へ突き抜けたデッドクロスが売りシグナル(売①)となります。
ゼロラインを越えたら追随
一般的に、MACD線がゼロラインよりも上(プラス圏内)にあれば強い上昇トレンド、逆に、下(マイナス圏内)にあれば強い下落トレンドとして判断します。よって、上昇時にゴールデンクロス後、MACD線がゼロラインを超えた時点で更に上昇が加速すると判断して追随買い(買②)をします。逆に下落時にデッドクロス後、MACD線がゼロラインを下回った時点で追随売り(売②)をします。
●チャート上でMACDを表示する際のパラメータ値は、短期EMAが12、長期EMAが26、MACDシグナルが9で設定するのが標準。
●ヒストグラムのボトムアウトが買いポイント、ピークアウトが売りポイントという見方ができますが、反応が早い分、ダマシが多いため参考程度に。
3.MACDの応用編
MACDのダイバージェンス
実際の値動きが直近の高値を更新(または安値を更新)しているのに、MACDが高値(安値)を更新していないというように、値動きとMACDの動きが逆行することを「ダイバージェンス(逆行現象)」といいます。ダイバージェンスの発生頻度は少ないものの、その分、強い売買シグナルといえます。
下図は、買いのダイバージェンスが発生しており、価格は安値を更新しているのに、MACD線は逆に上昇しています。そしてその後、強い上昇トレンドを形成しています。
ダイバージェンスは、オシレーター系のRSIやストキャスティクスでも現れますが、MACDのダイバージェンスは、特に頻度が少ないため、より強いシグナルであると判断できる。
RSIで利益確定
他のテクニカル指標を組み合わせることで、より精度の高い売買判断ができる場合があります。例えばオシレーター系の代表格であるRSIとの併用利用がおススメです。
RSIは相場の過熱感を0-100の数値で表し、一般的に30%以下は売られすぎ、70%以上は買われすぎとして判断し、逆張り系の売買シグナルとして利用します。
まずはMACDだけで利用してみて、MACDの特長を十分理解した上で、RSIや他のテクニカル指標を併用し、最適な組み合わせを見つけることができれば、かなり勝率はUPするでしょう。
4.MACDのまとめ
●MACDで使う移動平均線は、直近の値動きをより反映する「指数平滑移動平均(EMA)」を利用。
●2本のラインによる、ゴールデンクロスとデッドクロスを一つ目の売買ポイントとする。
●ヒストグラムのゼロラインを上回る(下回る)タイミングで追随の買い(売り)ポイントする。
●トレンドのない移動平均線が交差するような狭いレンジ相場では、だましが多くなり使いづらい。
●利益確定は、RSIを利用した方がより高い(低い)価格で売る(買い戻す)ことができる。