DMI
DMI(Directional Movement Index )は、RSI、パラボリック、モメンタム、PIVOTなど、数々のテクニカル指標を編み出した、人類最も有名なテクニカルアナリストである、J.W.ワイルダー(米国)が開発した指標です。しかもこの「DMI」は、本人が生涯で最も魅力を感じた研究で、人生最大の成果であると語っており、お気に入りの指標なのです。
1.DMIとは?
日本語で方向性指数ともいう「DMI」は、逆張りで効果を発揮するオシレータ系の指標が、一方に傾くトレンド相場で力を発揮することできないことから、その欠点をカバーするためのトレンド系の指標として開発され、トレンドの有無と強弱を探ろうとするものです。 オシレーター系の指標によくみられる、チャートの下に表示されます。 ※「DMI」をオシレーター系指標に分類する場合もあります。
DMIの3つの役割
①トレンドの有無 ②トレンドの方向性 ③トレンドの強さ
また、以下3本のラインを使って売買のタイミングをはかります。「+DI」 ・・・ 上昇トレンドである可能性を判断します
「-DI」 ・・・ 下降トレンドである可能性を判断します
「ADX」 ・・・ トレンドの強弱を判断します
「ADX(Average Directional MovementIndex)」は、トレンドの総合的な強さを測定するために特に役立つテクニカル指標で、単体で使われることも多いです。 トレンドの強い方向に乗って取引をする場合に、威力を発揮します。
DMIの計算式
■±DIの計算方法
①骨格の計算式は以下となります。 +DI=(n日間の+DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100 -DI=(n日間の-DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100
②まず、「+DM」、「ーDM」を算出します。 「+DM」=当日の高値ー前日の高値
「ーDM」=前日の安値ー当日の安値
ただし、 +DM<0 なら +DM=0
-DM<0 なら -DM=0
また、 +DM>ーDM なら -DM=0
-DM>+DM なら +DM=0
+DM=-DM なら ±DM=0
③次に、「TR (True Range)」を算出します。
以下3パターンから最大値を「TR」とします。
●当日の高値 – 当日の安値
●当日の高値 – 前日の終値
●前日の終値 – 当日の安値
■ADXの算出方法
①骨格の計算式は以下となります。 ADX = DXのn日間の平均
②「DX」を算出します。 「DX」=|(+DI)-(-DI)|÷DIの合計
「DX」は、+DIから-DIを引いた値の絶対値をDIの合計(+DIと-DIを足した値)で割ることによって求めます。
n(パラメータ値)について、まずはJ.W.ワイルダー氏が最適と提唱している“14”(日足)で設定してみましょう。
2.DMIの使い方
+DI線と-DI線のクロスで売買判断
まず、+DIと-DIの位置関係に注目します。 基本的には、+DIが上にある局面が上昇トレンド、-DIが上にある局面が下落トレンドであると判断します。 また、+DI線と-DI線のクロスを売買シグナルとみます。
【ゴールデンクロス】
+DIが-DIを下から上に上抜いたら買いシグナル。 更に、ADXが上向きになり、20を越えていけば信憑性が増します。
【デッドクロス】
+DIが-DIを上から下に下抜いたら売りシグナル 更に、ADXが上向きになり、20を越えていけば信憑性が増します。
ADXでトレンドの強さを判断
ADXは、トレンドが発生していると上昇し、トレンドの勢いが弱まると低下します。 ADXの数値でトレンドの強さを見極めることができます。
【20以下】 ADXが20より低い場合は、トレンドが弱く場合によっては全く無い状況となるため、方向感がないことを示します。よって、小さなレンジ相場になっていることが想定されます。
【20~40】 ADXが20を超えて40に近づく場合は、トレンドが徐々に強くなっている状況で、このトレンドに追随するのが勝ちパターンとなります。
【40以上】 ADXが40を超えると、非常に強いトレンドではありますが過熱感が高まり、いき過ぎを意識する必要がでてきます。よって、決済のタイミングと捉えても問題ありません。
3.DMIの応用編
MACDとの組み合わせが有効的
DMIは単体でも利用されることのある、ADXが付随されたテクニカル指標であるため、DMIだけでも使えなくないですが、当然、他のテクニカル指標を組み合わせることで、より精度の高い売買判断ができる場合があります。 例えば、エントリーのタイミングとして非常に有効的なシグナルを発するMACDとの併用利用がおススメです。
買いのエントリーは、DMIの+DI線が-DI線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」と、MACDにおける、MACD線がMACDシグナル線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」の同タイミングです。 そして、決済のタイミングは、DMIのADXが40以上で過熱感が出たところに注目し、ADXがピークを付けて下落し始めた箇所を狙います。
MACD以外にも、オシレータの代表格である、「RSI」との組み合わせや、複数の分析法の組み合わせで成り立っている「一目均衡表」との組み合わせなんかも、非常に相性がよいので、是非色々と試してみよう!
4.DMIのまとめ
●DMIは、トレンドの有無、トレンドの方向性、トレンドの強さがわかる複数分析ができる優れた指標であること。
●売買タイミングの基本は、2本の「+DI」と「-DI」のクロスポイントであるが、ADXが上向きとなり、値が20を超えたタイミングを強い売買シグナルと判断することで、よりダマシを回避しやすくなること。
●MACDなどと併用利用をすることで、より強いエントリータイミングを見つけることが可能になる。